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ぬかぴーのツブヤキ

発信者:TW2019
2022.06.01

Once upon a time...

30年近く前…というと電算写植の時代ですが、自分は当時の勤務先のつながりで某大手出版社の社内DTPに携わっていました。
その某社が書籍の内製化とコストダウンのためにソフトハード一体の高価なプロ用DTPソフト(写植機ではないが、写研書体に変換可能)を導入しましたが扱う人間がいない、というわけで勤務先で多少QuarkXpressを扱っていた自分が常駐する形で関わることとなったのです。

当時の自分はソフトの操作も初歩の初歩の上、組版の基本も満足に分かりませんでした。作業前に最低限の指導は受けたものの、そんな人間がぶっつけで民俗学関係のお堅い単行本(注や引用が多く、難解漢字も頻出)を1冊作る羽目となったわけで、色々なことを指摘されても当時は全く意味が分からず、本の内容はともかく単行本としての体裁はひどいものだったと思います。

その後も気息奄奄と仕事をこなしていましたが、数をこなし、指摘に耳を傾けるうちに、段落頭の字下げ、句読点と約物(つまり括弧)の文字間、禁則など、組版の基本がだんだん分かってくるようになります。
そのソフトは書式などをかなり細かくマニュアルで設定でき、文字列をコマンドで挟むことで書体変更、サイズ変更などができました。どうも電算写植機からの移行用として作られたもののようです。

専門的なことは省かせてもらいますが、
・書式をこう設定しておけば「文字間はこう変化する」ことが分かってくる。
・支給テキストの前後の部分をこう置換すれば、書体やサイズが簡単に変更できる。
・分かってくると、だんだん面白くなってくる。
そんな風に、4年半ほど随分勉強させてもらいました。

某社側の都合でその仕事がなくなり、その後当社にお世話になったわけですが、ソフトやハードが進化し、フォントもOCF→CID→OTFと進化して便利になっても文字組の基本は変わらないと思うのです。
誰もがWordやInDesignを扱うようになり、仕事によっては特殊な文字組(少し皮肉です)が使用されていても、基本が頭にあるかどうかで対応力が随分違うと思います。

そんなんで長年食わせてもらってます。