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ぬかぴーのツブヤキ

発信者:ナナわんこ
2025.09.19

╞╪╡ 鐵 學 ╞╪╡(86)鉄道の荷物輸送(1)

「鐵學(てつがく)」と称して、永遠に交わることのない2本のレールにまつわるお話をツブヤいています。
今回は昔あった鉄道での荷物輸送をご紹介します。

鉄道の貨物と荷物は違う

鉄道会社からみて「お客さま」とは何でしょうか? 当たり前ですが、乗客です。しかし他にも「貨物」がお客さまです。そのほか、かつては「荷物」もありました。貨物と荷物は似ているようで全く異なります。
旧国鉄の貨物(輸送)は貨車に積載して、1両ごと出発駅から到着駅まで機関車に牽引された貨物列車で運ばれますが、いまはコンテナ1個から運べます。
貨物に対して荷物(輸送)は依頼主または乗客の荷物を特定の車両(荷物車)に積載し、客車列車に連結または専用荷物列車で到着駅まで届けるシステムでした。

専用荷物列車(荷物車+荷物車+郵便車)、関西本線・関~中在家(信)間(1972)
珍しく貨物列車に連結された荷物車、関西本線・関駅(1972)

荷物輸送は「手荷物」、「小荷物」、「新聞雑誌・郵便等」に分けられます。
「手荷物」は乗車券を買うと、大きな荷物は自分で運ばなくとも駅で預け「チッキ」という伝票をもらい、着駅で受け取れる便利なシステムでした。ちなみに、高校1年生のころ、新潟県の新津機関区を訪問した際に忘れ物をしたところ、機関区の方が「チッキ」を組んで隅田川貨物駅止めにして送ってくれましたが次の日に着き、その速さにとても驚いたことを覚えています。
宅配便がなかった当時は郵便では5kgまでの荷物を宅配で、鉄道では20kgまでの荷物を「小荷物」として駅に持ち込み依頼し、着駅で(相手側が)受け取れる便利なしくみがありましたが、今では宅配便に置き換わりました。
「新聞雑誌・郵便等」はいまではすべてトラック輸送になっていますが、都市間の長距離輸送に欠かせないシステムで、荷物車・郵便車に積み込まれ輸送されます。上野駅の地上ホームには乗客の乗降とは別に荷物専用ホームもありました。
郵便は守秘性が高いため専用の「郵便車」があり、郵政省の職員が社内で郵便の仕分け・整理・積み降ろしを行っていました。東京駅や大阪駅等のターミナル駅の正面に中央郵便局があるのも、鉄道輸送の名残です。
また同様に今では通信により現地で印刷をしている新聞(全国紙)は、朝日・読売・毎日新聞は有楽町の社屋で印刷し、朝夕刊とも東京駅・上野駅・新宿駅・両国駅等から荷物車による鉄道輸送で各地に運ばれていました。(つづく)

各駅停車に連結された郵便と荷物の合造車「ユニ形」(最後尾)、参宮線・宮川~山田上口間(宮川橋梁)(1972)
機関車の次位に半分客室、半分が荷物・郵便室という「オハユニ形」客車が連結、荷物量が少ない路線で使用されました 会津線(現・只見線)会津西方~会津宮下間(只見川第一橋梁)(1971)