ぬかぴーのツブヤキ
╞╪╡ 鐵 學 ╞╪╡(89)どんつき駅(15)富山地方鉄道・岩瀬浜駅
「鐵學(てつがく)」と称して、永遠に交わることのない2本のレールにまつわるお話をツブヤいています。
北陸シリーズの「どんつき=行き止まり」駅をいろいろご紹介しましたが、そろそろ他の駅もご紹介しなくてはいけないので、今回の富山地方鉄道富山港線・岩瀬浜駅で北陸シリーズを打ち止めにしたいと思います。
LRTによるまちづくりを切り開いた富山ライトレール
この富山港線はもともと旧国鉄→JR西日本の路線で、貨物列車や国電型の電車が2006(平成18)年3月まで走っていましたが、いったん廃止となり、そのあと進めてきた鉄道路線から路面電車化の改造工事が済んだ同年4月に第三セクターの富山ライトレールに引き継がれ、LRT(低床型車両)が走るバリアフリーの路面電車として再生しました。
さらに北陸新幹線開業にともない、地上駅であった富山駅が高架化され、北側の富山港線と南側の富山地方鉄道の路面電車(市内線)との接続が完成した時点で、富山地方鉄道に吸収合併されました。いまでは市内電車が直接北側の富山港線に乗り入れ、岩瀬浜まで直通する利便性の高い運用が行われています。
富山地方鉄道(通称:地鉄)や市内電車については、思い入れがたくさんあるので、また別の機会に譲りますが、この富山ライトレールはコンパクトシティ構想の一環として、LRTを導入し自家用車から路面電車への公共交通を軸としたまちづくりを推進する上で重要な役割を果たし、「富山方式」といわれるまちづくり構想が全国に注目されました。
2023年に開業した宇都宮ライトレールも、この富山方式を採用し着工に踏み切った事例です。
富山地方鉄道富山港線・岩瀬浜駅
岩瀬浜(いわせはま)駅は富山駅から北に延びる富山地方鉄道富山港線の終点駅です。
新幹線の高架下にある南北をつなげた富山駅電停から、岩瀬浜駅まで7.7kmを25分ほどで結びます。富山駅から約1kmほど道路上をのんびりと走りますが、奥田中学校前から専用軌道に入ると乗り心地の良いLRTは快速で飛ばします。さらに市内線最南部の南富山駅前から岩瀬浜駅まで直通で11.5kmを48分で結んでいます。しかも距離にかかわらず均一料金(現金・ICカード240円)です。
岩瀬浜駅は富山ライトレールが開業した際にLRTのホーム向かい側に接続バスの乗り場が作られ、降りたその場でバスに乗り継げる構造になっています。
駅から北へ5分ほど歩くと、海水浴場にもなる広々とした砂浜が広がり、青い日本海と剣(つるぎ)・立山連峰が望見できる素晴らしいロケーションです。また北前船で栄えた岩瀬の古い町並みも残り、観光客も多く、富山市内観光の穴場です。
